最初に少しだけ、自己紹介をさせてください
及川、38歳。都内の中堅メーカーに勤める、どこにでもいる会社員です。
妻と、小学3年生の息子と、5歳の娘の4人暮らし。埼玉の築15年のマンションに住んでいて、毎朝7時前に家を出て、夜は20時前後に帰る。週末は子どもの習い事の送迎と、たまった家事と、なんとなく見るNetflix。
特別なことは何もない、普通の生活です。
でも34歳のある秋、健康診断の結果を見ながら、初めて「このままじゃまずいかもしれない」と思いました。それがこの記事を書き始めるきっかけになった話を、今日は少し長めに書かせてください。
34歳の秋、健康診断の封筒を開けた日
毎年10月に会社の健康診断があります。
20代のころは結果なんてほとんど気にしていませんでした。「異常なし」か「経過観察」がちらほらある程度で、「まあ若いし大丈夫でしょ」と封筒をそのまま引き出しに突っ込む。そういう習慣でした。
34歳のときも同じように封筒を開けました。でもそこには「要再検査」が3つ並んでいた。
血圧。血糖値。肝機能。
一つひとつは「境界線上」くらいのレベルです。すぐに病気というわけじゃない。でも3つ並ぶと、なんか急に現実感が出てきて。
その夜、妻に黙ったまま、一人で検索し続けました。「血圧 30代 危険」「血糖値 高め 放置」「肝機能 悪化 原因」。検索するほど怖くなって、検索するのをやめて、結局何もしないまま寝た。
再検査には、3ヶ月間行きませんでした。
怖かったんです。何か見つかったらどうしようって。でも今思うと、見つかるのが怖いんじゃなくて、「自分の生活を直視するのが怖かった」んだと思います。
全部が「なんとなくうまくいっていない」感覚
健康診断のことをきっかけに、自分の生活を少しずつ棚卸しするようになりました。
そしたら出てきた出てきた。「なんとなくうまくいっていない」ことが山ほど。
お金のこと。 34歳で貯金が思ったより全然なかった。NISAとiDeCoは「始めなきゃ」と思い続けて3年が経っていた。住宅ローンは組んでいたけど、団信の内容すら把握していなかった。老後のことを考えると不安なのに、何から手をつければいいかわからないから、考えないふりをしていた。
時間のこと。 趣味だったギターをいつのまにかやめていた。「落ち着いたら再開しよう」と思っていたけど、最後に弾いたのがいつかも思い出せない。平日は仕事と育児と家事で1日が終わり、休日は疲れを回復することに使い切る。自分のための時間が、気づけばゼロになっていた。
人間関係のこと。 職場では上司にも部下にも気を遣って、本音で話せる人がいない。学生時代の親友とは3年以上連絡を取っていない。家に帰っても妻との会話は「今日の夕飯なに」「子どものプリント見た」くらいで終わる。孤独というほどじゃない。でも、誰かとちゃんとつながっている感覚がない。
健康のこと。 朝起きた瞬間からなんとなく疲れている。肩こりと眼精疲労が慢性化して「あって当たり前」になっている。睡眠時間を削らないと時間が作れないから、毎晩6時間を切る生活が続いていた。体重は30代に入ってから少しずつ増え続け、20代のころのベルトの穴が使えなくなっていた。
「ちゃんとやっているつもり」だったのに
正直に言うと、34歳まで「自分はそれなりにちゃんとやっている」と思っていました。
大学を出て、それなりの規模の会社に就職して、結婚して、マンションを買って、子どももいる。仕事も特に問題はない。毎日出社して、与えられた仕事はこなして、大きなトラブルもない。
周りと比べて特別遅れているとも思っていなかった。
でも健康診断の封筒をきっかけに自分の生活を見渡したとき、「こなしているだけで、何も積み上げていない」という感覚が来たんです。
日々の仕事はこなしている。でも将来のためのお金は積み上がっていない。 毎日生きている。でも体は少しずつ蝕まれている。 家族と一緒にいる。でも本当の意味でつながれていない感じがする。 時間は過ぎている。でも「やりたかったこと」は何一つ始まっていない。
「このままでいいのか」という感覚を、ずっと先送りにしていたツケが、34歳の秋に一気に来た気がしました。
変えようとして、最初に気づいたこと
「よし、生活を変えよう」と決意して、最初にやったことは……本を10冊買うことでした。
健康の本、お金の本、時間管理の本、人間関係の本。Amazonのカートにどんどん入れて、一気に注文した。届いた本を積み上げて、「よし、これで変われる」と思った。
……3週間後、10冊のうち読み切ったのは2冊でした。
読んだ2冊も、「なるほど」と思いながら読んで、実行したのは最初の1〜2個だけ。1ヶ月後にはほぼ元通りの生活に戻っていた。
そこで気づいたことがあります。
「何を変えればいいか」は、もうわかってる。
睡眠をちゃんと取ればいい。投資を始めればいい。野菜を食べればいい。もっとコミュニケーションを取ればいい。スマホを見る時間を減らせばいい。
知識の問題じゃない。情報が足りないわけじゃない。
問題は「最初の一歩が高すぎる」ことでした。本に書いてあることのほとんどは「3ヶ月続ければ変わる」「習慣化すれば人生が変わる」という話で、最初のハードルが想像以上に高い。忙しい会社員が日常の中に差し込むには、もう少し小さい入り口が必要なんです。
「今日の夜から使えること」だけを試し続けた4年間
そこから方針を変えました。
「大きく変える」のをやめて、「今日の夜から使えること」だけを探して、試すことにしたんです。
再検査にまず行く。団信の内容を確認する。久しぶりの友人に一言LINEを送る。寝る前にスマホを裏返しにする。食事の最初にタンパク質を食べる。通勤中に耳で本を聴く。
一個一個は本当に小さい。「これで人生が変わる」なんて大げさなことは言えない。でも、今日できることを一つやる、それを積み重ねると、半年後、1年後の自分が少しずつ変わっていきました。
34歳から数えて4年が経った今、何が変わったか正直に書くと——
健康診断の「要再検査」は3つから0になりました。体重は3キロ戻った。朝、目が覚めたときの疲労感が明らかに減った。
NISAを始めました。毎月少額ですが積み立て続けています。住宅ローンの内容も、保険の内容も、自分の口で説明できるようになりました。
学生時代の親友と年に2〜3回会うようになりました。妻と月に1回、子どもを親に預けて二人で食事をする習慣ができました。
ギターは月2回だけ弾いています。上手くはないし、人に聴かせられるレベルでもない。でも「やっていること」になったのが嬉しい。
劇的な変化ではないかもしれません。でも4年前の自分と比べると、生活の手触りが全然違う。「なんとなくうまくいっていない」というあの感覚が、だいぶ薄れました。
このnoteで書いていくこと
こういった経験をもとに、このnoteでは30〜40代の会社員が密かに抱えている悩みを、健康・人間関係・お金・時間の4つのジャンルで取り上げていきます。
書くのは「今日の夜から使えること」だけです。
3ヶ月後に変わる話でも、年収1000万円になる話でも、20キロ痩せる話でもない。明日の朝、少しだけ体が楽になること。今夜、パートナーとの会話が1つ増えること。今月、口座に少しだけお金が残ること。来週、自分のための時間が15分できること。
そういう地味で小さな話を、丁寧に書き続けていくつもりです。
最後に
「このままでいいのか」という感覚は、サボっている人に来るんじゃないと思っています。
毎日ちゃんと働いて、家族のために頑張って、それでも何かが足りない気がする——そういう、真面目に生きている人のところに来る感覚だと思う。
あなたがもしその感覚を持っているなら、それはサボっているからじゃない。ただ、自分のための時間と習慣が少し足りていないだけです。
今日1つだけ、動いてみてください。
それだけで、1年後の自分が少しだけ違う場所に立っています。
及川
会社員 / 38歳 / 埼玉在住
健康・人間関係・お金・時間——30・40代の地に足ついた生き方を研究中。